PCF(PowerApps コンポーネント フレームワーク)とは
PCF(PowerApps Component Framework)は、Microsoft Power Platform(Dynamics 365 を含む)で カスタム UI コンポーネント を作成できるフレームワークです。従来の Web リソース や JavaScript カスタマイズ では実現できなかった、より 高度でインタラクティブな UI を構築 することができます。
PCF の主な特徴
- カスタム UI 要素の作成:標準の UI にない独自のコントロールを作成可能
- 最新の開発技術を活用:React、TypeScript、Fluent UI などを利用可能
- Dataverse(CDS)への直接アクセス:Web API を使用せずにデータ操作可能
- クロスプラットフォーム対応:モデル駆動型アプリ、キャンバスアプリ、Power Pages で動作
- リアルタイムのインタラクション:データ変更に応じて UI を自動更新
PCF のユースケースとシナリオ
カスタムデータ入力コントロール
シナリオ:
営業アプリで 割引率 を入力する UI を改善したい。標準の数値入力では直感的でなく、ユーザーがミスをしやすい。
PCF ソリューション:
・スライダーコントロール を作成し、割引率を直感的に調整
・色のインジケーター(例: 高い割引率は赤、低い割引率は緑)を追加
・リアルタイムバリデーション で誤った値の入力を防止
メリット:
- ユーザーエクスペリエンス(UX)が向上し、ミスが減少
インタラクティブなチャート
シナリオ:
営業マネージャーが 売上ダッシュボード を Dynamics 365 に組み込みたい。
PCF ソリューション:
・D3.js や Recharts を使用し、リアルタイムチャートを作成
・チャートのバーをクリックすると、関連するデータをフィルタリング
メリット:
- リアルタイムデータ分析 が可能
- Power BI なしで データ可視化
Google マップを使用した住所オートコンプリート
シナリオ:
顧客の住所入力時、手入力のミスが多い。
PCF ソリューション:
・Google マップ API を活用し、住所のオートコンプリート機能 を実装
・郵便番号の自動検証 や 地図のプレビュー を追加
メリット:
- データの精度向上、入力の効率化
編集可能なグリッド
シナリオ:
標準の Dynamics 365 サブグリッド では、各レコードを開かないと編集できない。
PCF ソリューション:
・インライン編集 可能なカスタムグリッドを作成
・条件付き書式設定(例: 過去の未払い請求を赤色で表示)
メリット:
- データ編集の効率が向上し、作業時間を短縮
データ編集の効率が向上 し、作業時間を短縮
シナリオ:
ユーザーが Dynamics 365 に書類(契約書、請求書)をアップロードするが、標準の UI が使いにくい
PCF ソリューション:
・ドラッグ & ドロップ でファイルをアップロード可能にする
・アップロードの進行状況バー を表示
・SharePoint や Dataverse に直接保存
メリット:
- 使いやすい UI により業務効率が向上
PCF を使うべきケースと他の選択肢
要件 | PCF を使うべきか? |
---|
標準 UI では対応できないカスタム UI | YES |
リアルタイムデータ可視化(チャート・グラフ) | YES |
動的でイベント駆動な UI | YES |
フォームの簡単なスクリプト処理 | NO(JavaScript 推奨) |
ワークフローの自動化 | NO(Power Automate 推奨) |
PCF と Web リソース / JavaScript の比較
機能 | PCF | Web リソース(HTML + JS) | フォーム JavaScript |
---|
パフォーマンス | 高い | 中程度(DOM 操作が多い) | 高い |
UI カスタマイズ | 高度 | 高度 | 制限あり |
Dataverse 直接アクセス | 可能 | 不可(Web API 必要) | 不可(Web API 必要) |
最新の開発技術(React, TypeScript) | 可能 | 不可(プレーン JS のみ) | 不可(プレーン JS のみ) |
再利用性 | 高い | 中程度 | 低い |
推奨される用途 | 複雑な UI | 独自のページ | 軽微な UI 変更 |
PCF の学習リソース
公式ドキュメント:
コミュニティリソース:
・PCF Gallery(PCF のオープンソースコンポーネント一覧)
まとめ
PCF は Power Platform / Dynamics 365 の UI を拡張する最適な方法であり、特にカスタム UI、データ可視化、インタラクティブなコンポーネント を作成したい場合に有効です。 React や TypeScript を活用 して、より高度なカスタマイズを実現しましょう。
コメント