本記事では、Power BIを用いて社内ポートフォリオ管理のダッシュボード構築事例をご紹介します。目的は、プロジェクトの進捗状況や担当者ごとのリソース負荷を一目で把握できる、コンパクトかつ拡張性のある1ページレポートを作成することでした。
要件概要
元データは100件前後のプロジェクト一覧で、以下の項目が含まれていました:
- プロジェクト名
- Start Date / UT / UAT Start Date / Go Liveなどのマイルストーン日付
- ステータス(Completed / In Progress / Not Started)
- Developer(担当者や開発者など)
- タグや備考
レポートとして求められたのは以下の内容です:
- プロジェクトのタイムラインを可視化
- ステータス別の分布を表示
- 担当者別の割り当て状況を可視化
- KPIボックス5つ(将来の拡張用)を設置
- 視覚的に整った1ページ構成にすること
技術的アプローチ
Power BIを用いて、以下のような構成で実装しました。
1. KPIカード(プレースホルダー)
まず5つのカードを配置し、現時点では全体のプロジェクト数を表示。将来的には以下のような指標に置き換える想定です:
- 期限超過プロジェクト数
- 平均リードタイム
- 完了率
- 今後30日以内に期限を迎える件数
- ビジネス要件に基づく独自KPI
2. ドーナツチャート:ステータス別分布
各プロジェクトのステータスを分かりやすく分類:
- Completed(完了)
- In Progress(進行中)
- Not Started(未着手)
3色でセグメントし、他ビジュアルとの連携フィルターも有効にしています。
3. ツリーマップ:担当者ごとの件数
ツリーマップでは、各担当者が持っているプロジェクト数を視覚化しました。業務の偏りや負荷の傾向を把握するのに有効です。
- 面積=件数
- 色分け=担当者ごと
4. ガントチャート+マイルストーン表示
外部ビジュアル(例:MAQ Software製のGantt)を活用し、以下のように設定:
- Category: Project Title(プロジェクト名)
- Start: Start Date
- End: Go Live
- Legend: ステータス
- Data Label: Developer
- Milestone: UT / UAT Start Date / Go Live / Start Date
「Today」ラインも表示され、各プロジェクトの進行状況や遅延がひと目でわかります。
実装時のポイント
・マイルストーンはバーとは独立して表示され、任意の日付を複数設定可能
・Null値でもエラーは出ず、自動でスキップされる
・ページ全体の整列は「グリッド+グルーピング」で制御
・複雑なDAXは使用せず、基本的なフィールドとフィルターで構成
・クロスフィルターを有効にし、ダイナミックに連携動作
構成まとめ
項目 | 実装内容 |
---|
プロジェクト概要 | ガントチャート+マイルストーン |
ステータス分布 | ドーナツチャート(3区分) |
担当者別分析 | ツリーマップ(面積=件数) |
KPI | カード(現在はプレースホルダー) |
使用技術 | Power BI(OOB+MAQ Gantt) |
データソース | Excel形式のプロジェクト一覧 |
可視化には、Power BIは軽量かつ即効性のある選択肢です。特にExcelベースの運用が多いチームにとって、最小限の構成で最大限の可視化が実現できます。
Dynamics 365やPower Platformとの親和性も高く、将来的な拡張にも対応できる柔軟な仕組みとなりました。
次のステップ(案)
・KPIカードをDAXロジックで動的表示へ
・期限超過・予定未達成などに色付けルール追加
・Teams / SharePointへの埋め込み
・定期的なリフレッシュスケジュール設定
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