現在はPower Appsのアプリタイプが3つ存在します。「キャンバスアプリ」、「モデル駆動型アプリ」「Power Apps ポータル」となっています。
これまでPortalに関する記事はいくつか書いてありましたが、いずれも細かい技術説明となりますので、今回は着眼点を変えて、概要説明をさせて頂きます。そもそもPortalはどの場面で使う、どのメリットがあるかを把握しておきましょう。
dynamics 365/Power Platform: Power Virtual Agents 活用方法を詳しく説明する。
Portal(ポータル)は、元々Adxstudioの製品です。その後Microsoftに買収されDynamics Portalsと改名されましたが、2019年後半にMicrosoftがPower Appsの下に統合し、Power Appsのアプリタイプを補完するためにPower Apps Portalsに変更されました。
Power Apps Portalを利用する場面
Power Apps Portalsの主な特徴は3つあり、それを踏まえてPortalsの利用シーンを紹介します。
1、外部ユーザーによるデータの閲覧・入力が可能
Power Apps Portalでは、ユーザーが社内の社員でなくても、もしくはログインしていなくても、自分が作成したレコードだけを見るなど、あらかじめ設定したルールに従ってサイト内のデータを閲覧・入力することが可能です。
2、ユーザー数の正確な見積もりは不要
Power Appsのキャンバスやモデル駆動型においては、ユーザーごとにライセンスを購入する必要があります。ユーザー数の見積もりを誤ると、リソースが無駄になったり、十分なリソースが確保できなかったり可能性が考えられます。
例えば、組織で200ライセンスを購入しても、ユーザー数が200人を超えると、一部のユーザーはアプリケーションを使用できなくなります。
一方、Power Apps Portalsは、訪問の量ごとに課金されるため、利用者数が正確に予測できなくても、サイトは機能します。
つまり、ユーザー数を考える必要がなく、アクセス量が多ければ課金も高くなると認識するだけでいいのです。
3、Microsoftのテクノロジーとシームレスな統合は可能
WebサイトにPower BIを埋め込む
ユーザーがウェブサイト上のフォームを送信したときに処理を起動する
Azure BlobまたはSharePointを使用してドキュメントを保存する
Application Insightsを使用してアプリケーションの使用状況を追跡・分析
同じくMicrosoftエコシステムのため、上記のようなMicrosoftのサービスとシームレスな統合が可能になります。
Power Apps Portalのアーキテクチャ
Power Apps Portalは、実は全く新しい製品ではなく、以前はDynamics 365 Portalsと呼ばれ、Dynamics 365モデル駆動型アプリのアドオンとして提供されていた製品となります。
システムアーキテクチャ:
フロントエンドフレームワークBootstrapを使用し、レスポンシブレイアウトに対応したスタイルになっています。テンプレート言語はLiquidで、ポータル全体はDataverseの上に構築されています。「ページ、フォーム、フォームデータなどのサイトデータ」はDataverseに格納されます。
Power Apps Portalは、ウェブサイトを素早く構築するためのコンポーネントを多数提供しています。これらのコンポーネントの主な目的は、Dataverseのテーブルデータに対して「追加、削除、変更」の操作をどのように行うかということです。
Portalにて使われる用語・概念も紹介します。
List:リストは、DataverseのテーブルのデータをWebサイトに表示するために使われます。Dataverseにおけるビューのようなリストを表示したい場合に、リストを利用することができます。(dynamics 365にあるフォームの意味合いと同じ)
Forms:フォームとは、個々のデータを表示、編集、入力するために使用されるコンポーネントのことです。(dynamics 365にあるフォームの意味合いと同じ)
Advanced Forms:アドバンストフォームにおいて、条件分岐やステップを利用して、フォームへのデータ入力を誘導するウィザード形式のフォームを作成することができます。
Web Role:ロールごとに異なるコンテンツへのアクセスを制限することで、サイトを保護する方法として使用されます。
Table Permissions:テーブルパーミッションは、Dataverseに保存されるテーブルデータを制限するために使用されます。例えば、Table Premissionsの設定により、ユーザーが作成したデータのみを閲覧することができます。
まとめ
Power Apps PortalはPower Appsのアプリケーションタイプであり、Dataverseのデータに外部ユーザーがアクセスできるようにします。
Portalは事実上のウェブページです。ローコードやコンポーネントに加えて、HTML、CSS、JSを使って構築することもできます。
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